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アルバイトへの有給休暇付与は義務?計算方法(日数・賃金)もまとめて解説

2021/10/22

雇用主・労働者それぞれが誤解しがちな労務の一つに、年次有給休暇の付与があげられます。

有給休暇が付与されるのは正社員のみで、パート・アルバイトには付与されないと考えている人は、意外と多いかもしれません。

実際のところ、アルバイトへの有給休暇付与は、業種・職種・雇用形態などに左右される制度なのでしょうか。

この記事では、人事・労務担当者の方向けに、アルバイトへの有給休暇付与について解説します。

企業の義務!アルバイトへの有給休暇付与

アルバイトスタッフへの有給休暇付与は、結論から言えば「すべての企業の義務」になります。

労働基準法第39条によると、有給休暇は「6ケ月の継続勤務・全労働日の8割以上出勤している労働者に対して最低10日付与しなければならない」ものとされており、雇用形態については特段の指定はありません。

シフト制の場合でも有給休暇は付与される

労働日の換算についても、正社員を基準にしなければならないというルールはありませんから、決められたシフトの8割以上出勤していれば有給休暇は付与されます。

6ケ月の継続勤務、(当人の)全労働日の8割以上出勤という条件を満たしていれば、アルバイトスタッフにも有給休暇は付与されるのです。

付与される日数は所定労働時間・所定労働日数によって決まる

アルバイトスタッフの場合、希望する働き方次第で勤務日数・勤務時間が変動します。

週1日・4時間勤務の人もいれば、週5日・フルタイム勤務の人もいるわけですから、それぞれのスタッフに付与される有給休暇の数が同じだと、多くの人が不平等に感じるはずです。

この点について厚生労働省は、比例付与という方式で、継続勤務年数に応じた付与日数を計算しています。通常の労働者の付与日数と見比べてみると、労働日数が少ないほど付与日数も少ないことが分かります。

引用元: 厚生労働省「リーフレットシリーズ労基法39条」

また、シフトの都合上、週の勤務日が変動するような場合は、雇用から6ケ月経過した日(基準日)の直前の実績を用いて算出します。

勤務をスタートさせてから半年が経過し、その時点で通算労働日数が70日だった場合、2倍して年換算した140日を1年間の所定労働日数として計算します。

付与される日数は所定労働時間・所定労働日数によって決まる

労働者には有給休暇を取得する権利がありますが、使用者には有給休暇を従業員に取得させる義務があります。

年10日以上の年次有給休暇が付与される従業員に対しては、年次有給休暇を付与した日から1年以内に必ず5日間取得させなければなりません。

この5日間の取得に関しては、有給休暇の取得時期を指定する方法が3つあります。

・(使用者による)できる限り労働者の希望に沿った時期指定
・従業員自らの請求、取得
・計画年休

なお、労働者に取得させた年次有給休暇の合計が5日に達した時点で、使用者からの時期指定をすることはできません。

有給休暇の際の給与計算方法は?

アルバイトスタッフが有給休暇を取得した際、給与はどのように計算されるのでしょうか。

計算方法は企業それぞれの就業規則等で確認できますが、概ね以下の3通りに分かれます。

①時給・勤務時間から計算する

おそらく、計算方法としてもっとも分かりやすいのが、時給・勤務時間から計算する方法でしょう。

シフト制の職場で、労働日数や時間が1週間・1ヶ月単位で決まっている場合、有給取得する日の勤務時間×時給分を支払います。

この考え方で計算した場合、時給1,000円で5時間働いている人の給与は、以下のように計算されます。
【1,000円×5時間=5,000円】

② 過去3ヶ月の平均賃金から計算する

ボーナス・臨時手当・労災による遅刻や早退を除いた、直近3ヶ月の平均賃金を使って計算する方法も、比較的分かりやすい計算方法です。

時給×時間ではなく、給与÷日数という形で計算するので、毎月・長時間働く人の方がもらえる金額も大きくなります。

この考え方で計算した場合、3ヶ月の給与総額が21万円・合計勤務日数が30日という条件だと、以下の金額が算出されます。
【21万円÷30日=7,000円】

③標準報酬日額をもとに計算する

アルバイトスタッフに適用される例は少ないかもしれませんが、標準報酬日額をもとに計算する方法もあります。

標準報酬日額とは、社会保険料決定の基礎となる標準月額報酬の1/30に相当する額のことで、標準報酬月額表の数字から日割り計算で金額を算出します。

なお、標準報酬日額をもとに計算する場合は、企業とアルバイトスタッフとの間で同意(労使協定)が必要です。

有給休暇取得を申請されたらどう対応すべき?

企業側としては、従業員から有給休暇取得を申請された以上、極力希望を満たしてあげたいところです。

しかし、繁忙期の有給休暇申請など、業務上どうしても人手が足りないような場合、社員全員の希望を満たすことは難しくなります。

そんな時、雇用者の都合で有給休暇取得を拒否してもよいのでしょうか?ここでは、スタッフが有給休暇取得を希望した際に備え、企業側の対応における注意点をいくつかご紹介します。

有給休暇の取得自体は拒否できず、理由も聞かないのが原則

労働基準法上、有給休暇をいつ取得するのか、という点については、労働者が企業側に説明する必要はありません。

また、従業員がどんな理由で有給休暇を取得するのか問いただし、企業側が取得拒否を決定することも許されません。

例えば、従業員が「6月10日に友達とサーフィンに行きたい」から有給休暇を取得することを希望している場合、レジャーであることを理由に希望を拒否することはできません。

この点については、有給休暇の手続きを行う上での原則ですから、社内での周知を徹底しましょう。

シフト上厳しい場合は「時季変更権」を行使できるが……

企業としては、従業員が好きなタイミングで有給休暇を取得できる状況を作ることが望ましいものの、シフトを組んで回す都合上、すべての従業員の要望を聞き入れるのは難しい現状があります。

そのため「請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合」においては、別の時季に有給休暇を取ってもらうよう従業員に働きかけることができます。

事業の正常な運営を妨げる場合にカウントされるケースとしては、以下のようなものが該当します。

・契約時に伝えるべきことは何か
・賃金支払い時のルールは理解できているか
・有給休暇や健康診断の実施状況は問題ないか など

一方で、以下のケースでは時季変更が認められない場合もあります。

・繁忙期ではあるものの、短時間の有給休暇の取得であり、代わりのスタッフを確保しなくても業務に支障がない場合
・有給休暇を認めることによる具体的な支障が明らかでない場合
・シフト上の出勤日の有給休暇申請について、代わりの勤務者の確保ができたにもかかわらず、その努力をしなかったと判断された場合
・退職前の有給休暇を消化する場合

時季変更権は慎重に行使すべき

時季変更権は、スタッフにシフトを強制する力こそあるものの、企業側がいつでも好きに使ってよいものではありません。

たとえ繁忙期だったとしても、できる限り有給休暇を取得させられるよう努力することが、企業側の責任と言えます。

もし、シフト管理者等がスタッフの申請を認めないようなことがあれば、スタッフからパワハラとして訴えられる可能性もあります。

そのため、時季変更権の濫用は控えた方が賢明です。

有給休暇取得でトラブルを起こさないための企業の対応方法

日本人のメンタリティとして、周囲に迷惑をかけないために有給休暇の取得をためらってしまうのは、多くの人が理解できる部分だと思います。

だからこそ、企業は従業員が有給休暇を取得しやすい環境作りに取り組まなければなりません。具体的には、取得を奨励する制度・慣習を作ることや、有給制度の周知などがあげられます。

企業内で明確なルールを作っておくことも、トラブルを避けるのに役立ちます。

ただ、そもそも「有給休暇取得」の心配がない人材を適宜配置できれば、スタッフの有給休暇に関する問題は起こらないとも言えます。

おわりに

自社の従業員が働きやすい職場環境を考える上で、有給休暇取得は重要ですから、決しておろそかにはできない問題です。

計算方法・時季変更権について理解を深めることは大切ですが、従業員の有給休暇取得に対するハードルを下げる取り組みを実施することも忘れないようにしましょう。

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