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【 雇用保険マルチジョブホルダー制度】65歳以上の兼業者への新たな制度を企業担当者向けに解説!

2022/01/14

2022年1月より複数の事業所で働く65歳以上の労働者向けに「雇用保険マルチジョブホルダー制度」が新設され、近年増えてきている副業・兼業するシニア世代にがより安心して働けるようになりました。

この記事では、雇用保険マルチジョブホルダー制度の概要や、企業担当者が65歳以上の兼業者に対して行う手続きや注意点について解説します。

2022年1⽉1⽇スタート!雇⽤保険マルチジョブホルダー制度

2022年1月1日から新設された雇用保険マルチジョブホルダー制度は、「複数の事業所で働く65歳以上の人が、特例的に雇用保険の被保険者になれる」制度のことです。

そもそも、従来の雇用保険制度の中で雇用保険に加入するためには、主たる事業所での労働条件が「1週間の所定労働時間20時間以上」かつ「31日以上の雇用見込み」という適用条件を満たさなければなりませんでした。

今回マルチジョブホルダー制度の施行によって、これまでの適用条件では対象とならなかった、所定の条件を満たした複数の事業所で働く65歳以上の労働者が、雇用保険に加入することができるようになりました。

参考:厚生労働省「マルチジョブホルダー制度とは

雇⽤保険マルチジョブホルダー制度の適用条件

マルチジョブホルダー制度の申出を行い、問題なく受理されれば、その労働者は「マルチ高年齢被保険者」という扱いになり、雇用保険加入の対象となります。ただし、マルチ高年齢被保険者となるのは、以下の条件を満たしている人に限られます。

・複数の事業所に雇用される65歳以上の労働者であること 
・2つの事業所(1つの事業所における1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満)の労働時間を合計して1週間の所定労働時間が20時間以上であること
・2つの事業所のそれぞれの雇用見込みが31日以上であること
出典:厚生労働省「【重要】雇用保険マルチジョブホルダー制度について

加入後の取り扱いは、通常の雇用保険と同様です。また、任意での脱退はできず、加入後に別の事業所で雇用された場合であっても、加入事業所を任意に切り替えることはできません。(上記①~③の条件を満たさなくなった場合を除きます)

なお、パート・アルバイトの通常の雇用保険に関しては、こちらの記事を参考にしてください。

65歳以上が雇用保険マルチジョブホルダー制度の適用を受けるメリット

マルチジョブホルダー制度のメリットは、従来の仕組みの中では雇用保険に加入できず保障に不安を感じていた人たちが、雇用保険の恩恵を受けられる点にあります。

65歳以上の労働者が失業してしまった際に、一定の条件を満たしていれば、高年齢求職者給付金を一時金で受給できるのです。一時金の算出にあたっての公式は、以下の通りです。

【基本手当日額=(離職以前6ケ月の賃金の合計÷180)×(50~80)%】
【被保険者であった期間が1年未満=30日分/被保険者であった期間が1年以上=50日分】

出典:厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「3 給付額|雇⽤保険マルチジョブホルダー制度 の申請パンフレット

高年齢求職者給付金は、2つの事業所のうち1つを離職した場合であっても受給ができます。

ただし、条件に該当する2つの事業所以外の事業所(3つめの事業所)で働いていて、離職していないもう1つの事業所と3つめの事業所を併せて要件を満たす場合は、被保険者期間が継続するので受給できません。

また、2つの事業所のうち1つの事業所のみ退職した場合は、離職していない事業所の賃金は計算には含まれません。マルチジョブホルダー制度は、一般的な雇用保険と比べて、制度上の違いがいくつか見られます。

65歳以上の労働者が多い企業では、マルチジョブホルダー制度に関する質問が増える可能性があるため、人事・労務担当者は制度の概要についてガイダンスできるよう準備をしておくとよいでしょう。

雇用保険マルチジョブホルダー制度の問い合わせが来たら、企業はどう対応すべき?

労働者から、雇用保険マルチジョブホルダー制度について問い合わせが来た場合、企業としてはどのように対応するのが良いでしょうか。

基本的に労働者側の判断に任される問題のため一概には言えませんが、最低限の対応として、労働者から依頼があったときに対応できるよう準備をしておくとスムーズです。

原則は65歳以上の対象者本⼈が申し出る

雇用保険マルチジョブホルダー制度は、企業側が65歳の労働者全員にヒアリングして対応する形の制度ではありません。

あくまでも、適用を希望する労働者本人が、申出の主体となります。ただし、すべての手続きが労働者だけで完結できるわけではなく、手続きに必要な証明に関しては事業者側が記載しなければなりません。

記載事項は申請パンフレットに書かれているため、労働者から証明を依頼された場合に備えて、マニュアル等を準備しておくと良いでしょう。

なお、労働者がマルチジョブホルダー制度に基づく資格取得・喪失の手続きを進める場合、必要な証明は企業側の義務となります。

事業主側の協力が得られないと労働者が判断した場合、ハローワークから事業主に対して確認が行われる可能性があるので、労働者との信頼関係を壊さないためにも迅速に対応しましょう。

企業側に求められる対応は?

65歳以上の労働者がマルチジョブホルダー制度を利用して雇用保険に加入する場合、労働者がハローワークまたは厚生労働省の公式ホームページから「雇用保険マルチジョブホルダー雇入・資格取得届」をダウンロードして、必要事項を記載したものを人事・労務等に提出します。

そこで、必要事項の記載等を求められた際、企業は以下の2点につき対応します。

①マルチジョブホルダー雇入・資格取得届への必要事項記入
②確認資料の交付

①の必要事項記入に関しては、以下の項目を記載します。

・事業所番号
・マルチジョブの被保険者となったことの原因
・賃金
・雇用年月日
・雇用形態
・職種
・1週間の所定労働時間
・契約期間の定め
・事業主が法人である場合は、その主たる事業所の郵便番号、所在地、法人の名称、電話番号とともに、代表者の役職と氏名を付記

②の主な確認資料は、以下の通りです。

・賃金台帳、出勤簿
※(原則、記載年月日の直近1ヶ月分)
・労働者名簿
・雇用契約書
・労働条件通知書、雇入通知書
・役員、事業主と同居している親族及び在宅勤務者等といった労働者性の判断を要する場合は、別途確認資料が必要

なお、添付書類の省略はできないため、企業は確認資料を別途準備できるようにしておくとよいでしょう。

労働者が管轄のハローワークに必要書類を提出した後は、自社に「雇用保険マルチジョブホルダー雇入・資格取得確認通知書(事業主通知用)」が届くので、それを保管します。

なお、雇用保険料の納付義務は、通知書に記載された申出・資格取得年月日からスタートします。

雇用保険マルチジョブホルダー制度の対応にあたり、企業が注意すべき点

基本的に申請は労働者主体で行われるため、雇用保険マルチジョブホルダー制度に関しては、事業者側で月々の作業をルーティン化する必要はないでしょう。

しかし、今後65歳以上のパート・アルバイトスタッフを増やす予定があるなど、人員の増強をシニアスタッフで補う予定があるなら、手続きの流れを人事・労務担当者がきちんと押さえておくべきでしょう。

また、事業主は、労働者がマルチジョブホルダー制度の申出を行ったことを理由に、解雇・雇止め・労働条件の不利益変更など、労働者に対して不利益な取り扱いを行ってはいけません。

もちろん、意図的に不利益な取り扱いを検討するケースはまずないでしょうが、少なくとも労働者に誤解されることのないよう、進んで協力できる体制を人事・労務の側で整えておきましょう。

まとめ

雇用保険マルチジョブホルダー制度は、ますます増加していくと想定される複数事業所で働く65歳以上の労働者の補償を厚くするために新たに施工されました。

企業としては、採用活動において有利になるため、制度の特徴や仕組みを押さえておくとよいでしょう。

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