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【ダブルワーク(副業)】雇用側の残業代・労働時間管理における注意点

2022/05/27

働き方改革・新型コロナウイルスの流行など、社会情勢の変化にともない、ダブルワーク・副業を希望するアルバイト・パートスタッフは増加傾向にあります。

ダブルワーカーが増えることは、優秀な労働力の確保につながるメリットもある反面、企業側にはダブルワーカーの残業代支払い・労働時間管理の面で複雑な処理が求められます。

ダブルワークは、1人の労働者が複数の企業に雇用されている状況なので、自社では他社との労働時間を通算して管理しなければなりません。

この記事では、副業・ダブルワークに勤しむスタッフを抱える企業担当者向けに、残業代・労働時間管理における注意点について解説します。

ダブルワーク・副業をしているスタッフは、週の労働時間をどう計算する?

人事的な観点からダブルワーク・副業を考えた場合、自社の立場から見てやはり気になるのは、週の労働時間の上限でしょう。

労働基準法上、1日8時間・1週間40時間以内という法定労働時間の枠組みは、本業と副業を合わせて適用されるルールだからです。

あるスタッフが、自社のほかにメインで働いている職場があった場合、スタッフの1日の勤務時間によっては「自社での勤務時間に割増賃金(残業代)が加わる」可能性も十分あるわけです。

まずは、週の労働時間について、ダブルワーカー・副業を持つスタッフに適用されるルールを見ていきましょう。

ダブルワーク・副業をしているスタッフの労働時間は、原則として「通算」する

基本的に、ダブルワーク・副業に従事しているスタッフの労働時間は、自社の勤務時間と通算して計算しなければなりません。

労働基準法第38条には「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。」と記されているため、本業と副業の労働時間は通算して計算されます。


〇ダブルワーク・副業における残業の考え方
1つの会社で働く場合と違い、ダブルワーク・副業における残業時間は、2社で働いた労働時間のうち「法定労働時間を超えた時間」が対象となります。

A社で8時間・B社2時間の労働契約を結んでいた場合、A社もしくはB社で働いた2時間が時間外労働の割増賃金分として計算され、いわゆる残業代にカウントされます。

また、通算して割増賃金が発生する労働時間での勤務となる場合、いずれかの会社で36協定を結ばなければなりません。時間外労働の上限時間は、原則として月45時間・年360時間と決まっていますから、ダブルワーカーだからといって制限なくシフトを埋められるわけではない点に注意が必要です。

〇割増賃金(残業代)の基本的な考え方
例えば、以下のような条件で働いている労働者が自社にいる場合、自社が割増賃金を支払う可能性があります。

<アルバイトスタッフAさん>
・他社で6時間勤務し、自社で4時間勤務している
・それぞれの勤務先で働く曜日が決まっている
・自社で雇用する際に、ダブルワークしたい旨を相談された(他社の方が勤務歴は長い)

上記の例の場合、通算の労働時間は10時間となっているため、Cさんには2時間分の割増賃金が支払われます。仮に、自社の時給が1,200円だったとしたら【1,200円×2時間×1.25=3,000円】が割増賃金となります。

そして、この割増賃金を支払う企業は「後からAさんを雇い入れた企業」である自社となります。

〇後から雇用した企業が割増賃金を支払う理由
自社では残業をさせていないにもかかわらず、スタッフに割増賃金を支払うのは、納得いかないと考える人も多いはずです。

ダブルワーク・副業をしているスタッフを雇う場合、なぜ後から労働者を雇用した企業に割増賃金を支払う義務が発生するのでしょうか。その理由は、契約締結時に該当スタッフが「すでに他の会社で働いている」ことを、後から雇用する立場の企業は理解した上で契約すべきという考え方からきています。

よって、ダブルワーク・副業希望者を雇う場合は、その人材の労働状況を確認した上で判断するのが賢明です。ただ、これはあくまでも原則論であって、いかなる場合でもこのルールが適用されるわけではありません。

例えば、勤務後に副業すること・他の会社で働くことを知りながら、スタッフに予定よりも長く働いてもらった場合は、本業側の企業に割増賃金を支払う義務が発生します。

副業の場合は、労働時間に通算されないケースもある

2つの企業に雇用されて働くダブルワーカーは、いずれの職場でも労働者の立場ですから、それぞれ勤務した時間は通算されます。

しかし、副業の場合は必ずしもそうとは言えず、働き方や業務内容によっては労働時間に通算されないケースもあります。

労働基準法の適用外となるケース

労働基準法は、労働者に適用される法律のため、副業の種類によっては適用されない可能性があります。

職業の種類を問わず「事業または事務所に使用され賃金を支払われている人」以外は、法定労働時間の超過に対する残業代が発生しないからです。

具体的には、以下のような形で副業を行っているスタッフに対して、副業時間に対する残業代を自社で支払う必要がありません。

・フリーランスとして働いている
・独立または起業している
・その他、特定の事業または事務所に属さず働いている(アドバイザー、コンサルタント等)

しかし、副業の業務内容が労働契約であるか否かは実態にもとづいて判断されるため、以下のようなケースは就労の実態に応じて労働基準法の適用を受けることになります。

・労働基準法の労働時間規制/労働安全衛生法の安全衛生規制等を潜脱している
・合理的な理由なく、労働条件等を労働者の不利益に変更している
・請負であるかのような契約としているが、実態は労働契約である

よって、スタッフ自身が自らの責任で行っている副業はともかく、自社または他社の都合でスタッフに副業という働き方を強制するのはNGです。

労働時間規制の適用外となるケース

副業の観点からもう1つ注意しておきたいケースは、労働基準法の適用対象ではあっても、労働時間・休憩・休日に関する規定の対象外となる仕事に従事している場合です。

具体的には、以下のような仕事に従事している人が該当します。

①土地の耕作・開墾、植物の栽植・栽培・採取・伐採の事業、その他農林の事業に従事している人※(林業は除く)
②動物の飼育、水産動植物の採捕・養殖の事業、その他の畜産・養蚕または水産の事業
③事業の種類にかかわらず、監督もしくは管理の地位にある人、または機密の事務を取り扱う人
④監視または断続的労働に従事する人で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの

よって、農作業を勉強したくて近所の農家の仕事を有償で手伝っている場合などは、基本的に農作業に関して残業代が発生することはありません。このほか、高度プロフェショナル制度の該当者にあたる人も、労働時間規制が適用されません。

労働時間に通算されないからといって、無理はさせられない

ダブルワーカー・副業に従事している人を自社で雇用する場合、たとえ自社が残業代を支払わなくてもよい立場だったとしても、法定労働時間いっぱい働かせようとするのは得策とは限りません。副業

結局、実際に頭と身体を動かして働いているのは生身の人間ですから、無理をお願いするのも限界があります。

働き手がダブルワークや副業という選択肢を選ぶのは、必ずしも前向きな理由ばかりではありません。生活に深刻な支障が出たことをきっかけに、無理を承知で収入を増やそうとしている可能性も十分あります。

自社で働いてくれるスタッフの事情を勘案しつつ、無理のない範囲で働けるよう配慮することが、自社の評価や働きやすい職場の構築につながります。

人事担当者や店舗責任者は、単純に労働時間や賃金の問題だけで考えず、総合的に判断してスタッフの労働時間を管理しましょう。

なお、ダブルワーカーであることの多いギグワーカ・短期アルバイトの求人に関しては、こちらの記事をご覧ください。

まとめ

ダブルワーク・副業従事者の残業代は、原則として働いている職場の労働時間を通算して計算しますが、労働基準法の適用外になるケースなど、イレギュラーも存在しています。

ダブルワーク・副業従事者を雇用する場合、自社が残業代を支払う状況や、スタッフの労働環境等も考慮しながら、無理なくシフトを組むことが大切です。

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